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ProjectID:39400
公開日時:2011-06-24 11:48
THELONIOUS MONK / THE RIVERSIDE TONER SESSIONS
表題は、「セロニアス・モンク」のアナログレコードボックスです。

ずばり、レコードです。LPです。最初にお断りしておきます。
私の世代は、間違いなくレコード世代ですので、レコードって何?はご勘弁ください。ただし、LPの世代です(幼少の頃はソノシートで楽しんだ覚えはありますけどね)。
はじめて、LP(Long Play)盤を購入したのは、中学一年生だったかと記憶していますが、カラヤン指揮のアントニオ・ヴィヴァルディの「四季」でした。2000円を超えていたかな。当時はたいへんな出費でした。それからCDへ移り変わるまでに、せっせとLPを買ったものです。CDに切り替わる直前の、1980年前半は月に5〜6枚は買っていたでしょうか?
ところで、LPをアルバムって表現することを不思議に思ったことありませんか?なぜ、アルバムというかいうと、レコード初期は録音時間が短く、長編物を出そうと思えば、シングル盤を何枚もセットにしないといけなくて、それをアルバムと呼び始めたそうです。それが語源となって、LPの時代になるたくさんの楽曲が納められることから初期のアルバムという名称がそのまま定着したそうです。
限定2,500部の高音質LPセットボックス
さてご紹介するのは、ジャズ・ピアノの異端児、「セロニアス・モンク」のアルバム7枚のセットボックス。レーベルは、リバーサイドです。リバーサイドと言えば、二枚看板は、モンクとビル・エバンス。ともに超個性派であり、ジャズ史上燦然と輝くピアニストです。モンクがリバーサイドに残した、BRILLIANT CORNERS, MONK'S MUSIC, THELONIOUS MONK WITH JOHN COLTraNE, THELONIOUS IN ACTION, 5 BY MONK BY 5, AT THE BLACKHAWKの7枚を、180グラムの重量級LPでプレスした限定版です。製作は、Analogue Productions、技術は、高音質アナログ盤では名の知れている、AcousTech社です。このモンクのLP7枚組セットボックスは、限定2,500枚のシリアル#412となります。
モンクの残したリバーサイド盤LP7枚組
録音技術紹介
【参照 URL(外部サイトへリンクします)】
  1. http://www.analogueproductions.com/
    製作会社
  2. http://www.acoustechelectronics.com/
    録音技術
一度も針を落としてない
前回紹介した、レオナルド・ダ・ヴィンチのマドリッド手稿と同様、このボックスセットも未使用品。つまり一度も針を落としていません。なぜって?まぁ、コレクションとして購入したまでといったら正直なところ。もちろん、アナログプレイヤーは所有していますし、CDでは味わえないレコードの良さも満喫しています。そして、モンクも結構聞きますが、CDで聞いちゃいます。ですから、今でもアナログ盤を買っちゃったりする人や、コレクターなら気に入ってもらえるでしょう。

ボックスタイトルは、THELONIOUS MONK / THE RIVERSIDE TONER SESSIONSで、以下のサイトに詳しく紹介されています。
付属のライナーノーツは、ジャズジャーナリストのBob Blumenthal氏が各アルバムについて20ページに及び解説されています(英文です)
限定2,500部、シリアル#412
【参照 URL(外部サイトへリンクします)】
  1. http://www.thenightowl.com/reviews/monkbox.htm
    THELONIOUS MONK / THE RIVERSIDE TONER SESSIONS
1948年のダウン・ビート誌によるインタビュー記事
実際、この手の商品に関心を持つ人なら、私の聞きかじりの文章など意味もないでしょうから、1947年9月24日のダウン・ビート誌に紹介された、ビル・ゴットリーブ氏の記事から当時のリアルモンクを紹介しましょう。1947年と言えば、モンクのリバーサイドの代表作であるブリリアント・コーナーズの発表が1956年12月ですから、かなり前のインタビューになります。インタビュータイトルは、「バップの天才、セロニアス・モンク」、ついにインタビューに応じた孤高のピアニストとあります。彼、ゴッドリープ氏は、モンクをビ・バップ界のジョージ・ワシントン、謎だらけの人物と紹介し始めます。
紹介文では、モンクが、ビ・バップの創始者の一人であるということを事実として伝えることに意味がありそうです。つまり、現代のように過去の記録、音楽史を紐解くように、誰が何をしたとか、系統図を書き並べて解説するのではなく、1940年当初から、まるで宇宙が創生されるようなごとく、ビ・バップが生み出され、その中心にモンクがいたということを当時の関係者が証言していることです。記事の発行日は、1947年9月24日ですから、まさにリアルタイムでの証言記録みたいなものです。ちなみにLPが出現したのが1948年、業界規格となり革命を起こしたのが1951年。
ゴットリーブ氏の記事には、モンクの言葉としてのインタビュー文章はまったく出てきません。このことからも、実際インタビューと言っても寡黙でほとんどしゃべらないモンクの一面が推測されますが、ビ・バップは1941年初頭のミントルズから始まり、モンク自身がそのオリジネータの一人であることを認めたと記載される一文があるだけです。果てしてこれがインタビュー記事かどうか、そんな気もします。
【参照 URL(外部サイトへリンクします)】
  1. http://www.shinko-music.co.jp/main/ProductDetail.do?pid=0630033
    参考書:ダウン・ビート アンソロジー
ジャズはITか
時々思うのですが、ジャズという音楽は、音楽を解説する、あるいはライブ中心であるが故にその場で起こったことが伝説となり、さらにそれが綴られて音楽家の人生が形作られるという情報技術(IT)そのものであると考えてしまいます(ITの語源となったMITの論文では、電子文書の基本技術を情報技術、Information Technologyと名付けています)。つまり、1950年、第二次大戦後、人々は技術革新を通じて、ラジオ、レコード、テレビと情報が次々と世の中にあふれ出し、いろんな事を知り、もっとたくさんのことを知りたくなってきた、いわゆる知的欲求という時代の要望に対して、ジャズがリアルタイムで進化する音楽、芸術であったが故に、今日的なジャスの全体像の捉えられ方(音楽とそれを形作る情報のセット)が出来たのではないでしょうか?
そんなことを思うと、もしこの時代にTwitterがあったら、目の前でモンクがピアノの弾き、今まで聞いたこともない和声やメロディーを聴いたら、「すげー、ピアニストがいるぞ」というメッセージがNY中を駆け回り、ものの数分でライブハウスにはたくさんの音楽ファンが訪れたかも知れません。
セットボックス外観